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『チケット転売禁止法』に寄せて。人に迷惑を掛けてはいけない。
『人に迷惑をかけてはいけない』
おそらく、ほとんどの人が子供の頃に親から、或いは誰かから学ぶ考え方だと思う。
世の中、色々な仕事があって、考え方があって、『迷惑を掛けざるを得ない』瞬間は往々にしてある。
『ない』と言い切れる人は間違いなく独善的だ。
上から目線ながら、是非自らを省みて欲しい。
そういう意味で、人に迷惑をかけるというのは当然のことなのだけれど、『迷惑にしかならないこと』でお金を稼ぐのは違うだろう。
『チケット転売』なんてのは、まさにその最たるものである。
『転売』を売り手と買い手の間に入る仕事と捉えるのであれば、例えばそれは『商社』にも通ずるものがある。
僕も仕事をする上で、商社と関わることが往々にあり(私個人が直接取引する訳ではないけれど)、足元見られてるな、と感じることもそう少なくはない。
…のだけれど、例えば商社抜きでインドの現地企業と取引することを思うと、それも仕方ないと思う。
言語は何とかなるにしても、ビジネスの上でのコミュニケーションとなると『ただ喋れる』だけではお話にならないし、僕らにはインドの取引のしきたりなんかも何も分からないし経験もないし、やはり商社が間に入ってやってくれることには、確かに価値があるのだ。
チケット転売はどうだろう。そこに何か価値が見出せるだろうか？
まあ、確かに『よりチケットを確保する手段を知っている』というのはあるかもしれない。
それがどのようなノウハウなのかはよく知らないし、頭の足りない私では、時間になった途端公衆電話から電話掛ける、とかその程度のことしか思い浮かばない以上、何かしらの熟練した技や知識はあるのかもしれない。
でも、そんなものは『チケット』という限られた牌を食い潰しているだけだ。
付加価値を生み出しているのではなく、牌を食い潰して希少価値を上げているだけの寄生虫である。
道徳で縛れない者を法で縛る。
『チケット転売禁止法』の成立経緯は実に分かりやすく、法のあるべき姿を示しているのだけれど、こうでもしないと縛れない人達がいるという事実が、ただ哀しい。
死にたい気持ちと、生きていく。